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箱根駅伝2027・全10区間の見どころ|距離・コース・坂・記録で読み解く観戦ガイド

コラム
箱根駅伝2027・全10区間の見どころ|距離・コース・坂・記録で読み解く観戦ガイド

箱根駅伝を見ていると、

「2区にはなぜエースが集まるのか」

「5区と6区は同じ山なのに、何が違うのか」

「前を走っている大学が、どうして総合順位では後ろになるのか」

といった気になる場面がたくさん出てきます。

その疑問を解く手がかりが、コースです。
10区間はすべて20kmを超えますが、距離が似ていても、坂の向きや走る時間帯、襷を受け取る位置によってレースの見え方が変わります。
山の区間だけを覚えるよりも、そこへ至る区間と、山を下りたあとの区間を一緒に知ると、2日間の流れを追いやすくなります。

この記事では、全10区間の距離と地形を一覧で確認したうえで、各区間で見ると面白いポイントを解説します。
順位表示の読み方や区間記録も整理し、初めて観戦する方から、エントリー表を見ながら配置を考えたい方まで使えるガイドにしました。

2027年大会について、現時点で確認できること

関東学連が公表する第103回大会の開催日は、2027年1月2日(土)・3日(日)です。
本稿の距離・地形は、現在の大会公式コース紹介と第102回大会の要項を照合しています。執筆時点(11月7日)で確認できる第103回大会ページには本大会の詳細要項が掲載されていないため、復路の出発方法や繰り上げなどの具体的な運用は、第102回大会の規定を参考として説明します。
区間配置、気象条件、当日の運用は今後の公式発表で確認してください。[1][2][3]

目次

👉駅伝観戦で生まれた疑問、Runvoxで深めてみませんか?

1.箱根駅伝の全体像|往路・復路で217.1km

箱根駅伝のコースは、東京・大手町の読売新聞社前と、箱根・芦ノ湖を結びます。往路が1〜5区の107.5km、復路が6〜10区の109.6km。往復で10区間217.1kmです。[2][4]

ここで押さえたいのは、箱根に着いて、そのまま6区へ襷を渡して走り続ける大会ではないことです。1月2日は5区で往路が終わり、翌3日に6区から復路が始まります。レースの途中に一晩を挟むため、2日目は出発の仕組みも含めて見直す必要があります。往路は東京から箱根へ。復路は翌日、箱根から東京へ。箱根芦ノ湖小田原平塚戸塚鶴見東京大手町5区4区3区2区1区20.8km20.9km21.4km23.1km21.3km6区7区8区9区10区20.8km21.3km21.4km23.1km23.0km位置関係を示す模式図です。往復の細かな経路や中継地点、距離の縮尺は省略しています。

図は第102回大会の区間距離をもとに作成。東京側を右、箱根側を左に配置しています。

同じ沿線を戻るのに、なぜ復路の方が長い?

往路と復路の距離を引くと、復路が2.1km長いことが分かります。箱根と東京を往復するものの、全区間が同じ道をそのまま逆向きに走るわけではありません。例えば東京側では、1区が日比谷を経る一方、10区は日本橋を経て大手町へ向かいます。[2][8]

区間の距離を対応させると、1区21.3kmに対して10区23.0km、4区20.9kmに対して7区21.3kmです。したがって、復路のタイムを往路のタイムと単純に比べて「遅い・速い」と判断することはできません。距離に加え、坂を上るか下るか、どの時間帯に走るかも異なります。

2.全10区間の距離・コース一覧

まずは、どの場所を誰に向けてつないでいくのかを一覧で見てみましょう。区間名を押すと、その区間の詳しい解説へ移動できます。

区間コース距離見ると面白いポイント
往路1区大手町 → 鶴見21.3km集団の動きと、次の走者に渡す時点の差
往路2区鶴見 → 戸塚23.1km権太坂と終盤の上りを挟んだタイム差
往路3区戸塚 → 平塚21.4km下りから海沿いに出て、差がどう動くか
往路4区平塚 → 小田原20.9km山上りの走者に残す順位と時間差
往路5区小田原 → 箱根・芦ノ湖20.8km上りで動いた差が、最高地点の先でどう変わるか
復路6区箱根・芦ノ湖 → 小田原20.8km序盤の上り、山下り、終盤を通した差の変化
復路7区小田原 → 平塚21.3km6区で得た差を、平地でどう引き継ぐか
復路8区平塚 → 戸塚21.4km海沿いから内陸へ。遊行寺坂の前後の動き
復路9区戸塚 → 鶴見23.1km復路最長区間で、アンカーに何秒差で渡すか
復路10区鶴見 → 大手町23.0kmフィニッシュまでの総合順位とタイム差

出典:[2]第102回大会要項、[3]大会公式コース紹介、[5]日本テレビ・往路、[6]同・復路

最長は2区と9区の23.1km。最短は5区と6区の20.8kmです。ただし、距離が短いことと走りやすいことは別です。山を含む5・6区は、距離の数字だけでは特徴を捉えられません。また、箱根で「平地区間」と呼ばれる区間にも坂はあります。

3.往路1〜5区|東京から箱根へ

往路は、全チームが同時に走り出す1区から始まります。鶴見、戸塚、平塚、小田原と襷をつなぎ、最後に箱根の山へ。序盤の小さな差が広がることもあれば、山に入って展開が変わることもあります。

1区 大手町〜鶴見|最初の順位より、襷を渡す瞬間の差

距離:21.3km 主な着眼点:集団、仕掛けの時機、六郷橋

1区は平坦な直線が多く、17kmを過ぎた先の六郷橋が一つの注目地点です。全チームが同時に出発するため、集団内の駆け引きを直接比較しやすい区間でもあります。[3]

大きな集団が続いていると、順位の数字だけが頻繁に動くことがあります。しかし、先頭から最後尾までが数秒に収まっていれば、その時点の順位だけで大きな差がついたとは言えません。誰かが集団を離れたときには、追走する人数と、残った集団との時間差を一緒に見てみましょう。

観戦では、先頭争いと同時に「自分の応援する大学が、どの集団で襷を渡すか」を追うと2区につながります。例として、区間3位でも先頭と30秒差なら、区間8位で10秒差のケースより時間の開きは大きくなります。順位と秒数は、別々に見る必要があります。

【観戦メモ】
六郷橋の前後で集団が変わったか。そして鶴見で、先頭との差だけでなく、すぐ前の大学との差も確認します。

2区 鶴見〜戸塚|「花の2区」は、後半まで見てこそ面白い

距離:23.1km 主な着眼点:権太坂、終盤の起伏、追い上げ

2区は9区と並ぶ最長区間で、各校のエースが多く配置されてきました。鶴見から横浜駅、保土ケ谷方面へ進み、13km付近から権太坂へ。さらに残り3kmにも起伏があり、戸塚中継所まで力を使い切らずに進めるかが見どころになります。「花の2区」という呼び名には、こうした区間を担う名選手が集まってきた背景があります。[2][3][4]

ここで分かりやすく映るのが、前の走者を次々に抜く場面です。ただし、抜いた人数と区間タイムの優劣は同じではありません。前方に何人いるか、その間隔がどれほどあるかは、1区から受け継いだ展開によって変わります。最初から先頭で走る選手には、そもそも抜く相手がいません。

「何人抜いたか」を楽しみながら、襷を受けたときと渡したときで、先頭との差が何秒変わったかにも注目したいところです。権太坂まで追い上げた選手が戸塚まで差を縮め続けるのか、後半に別の大学が伸びてくるのか。区間の途中と最後を見比べることで、23.1kmの組み立てが見えてきます。

【観戦メモ】
抜いた人数、先頭との差、区間タイムを分けて見る。権太坂の時点で、区間全体の評価を決めないのがポイントです。

3区 戸塚〜平塚|街から海へ、景色とともに変わる走り

距離:21.4km 主な着眼点:前半の下り、海沿い、風

3区は遊行寺坂などを下って藤沢方面へ進み、浜須賀で海沿いの国道134号へ出ます。内陸の街並みから、相模湾を望む開けた道へ変わるコースです。後半の湘南大橋を含め、海沿いでは風向きや強さも観戦の手がかりになります。[5]

ここでは、2区で生まれた差をそのまま「チームの力の差」と受け取らず、別の走者に替わってからの動きに注目してみましょう。2区で離された大学が3区で追いつく展開なら、同じチームでも区間ごとに違う強みが表れていることになります。

また、画面の走者が集団をつくったときは、その集団が前の大学との差を縮めているかを見ると状況を追いやすくなります。並んで走っているだけでは、誰に余裕があるかは分かりません。海岸へ出る前後の通過タイムと中継所の結果を合わせれば、景色の変化をレースの変化と結び付けられます。

【観戦メモ】
海沿いに出る前と出たあとで、追走集団と先頭の差がどう変わったか。風向きは当日の中継情報で確かめます。

4区 平塚〜小田原|山の勝負を、どの位置から始めるか

距離:20.9km 主な着眼点:細かな起伏、終盤の上り、5区へ渡す差

4区は平地区間では最も短い20.9km。平塚から大磯、二宮を経て小田原へ向かい、酒匂橋などの橋も通ります。細かな起伏があり、小田原中継所へ向かう終盤にも上りがあるため、「短い平地区間」とだけ覚えると特徴を見落とします。5区の山上りへ襷を渡す直前の区間です。[2][3][5]

山の走者に注目が集まっていても、その選手が何秒差で走り出せるかは4区までの結果で決まります。例えば、前との差を1分から30秒に縮めて渡せれば、5区の走者が追うべき差は半分になります。山での逆転を読むときには、山の選手だけでなく、出発時点の条件も見たいところです。

中継所が近づいた場面では、先頭との差に加えて、前後の大学との距離を確かめてみましょう。単独で襷を受けるのか、別の大学とほぼ同時に出るのか。5区の入り口を想像すると、4区の最後の数kmにも自然と目が向きます。

【観戦メモ】
小田原での「大学名・順位・タイム差」を一度記録しておくと、山でどれだけ展開が変わったかが分かります。

5区 小田原〜箱根・芦ノ湖|山上りの勝負は、上り切っても終わらない

距離:20.8km 主な着眼点:長い上り、国道1号最高地点、その先の下り

5区は山上りの区間です。大会公式の案内では、国道1号の最高地点は標高約874m。ただし、フィニッシュまでずっと上り続けるわけではなく、最高地点を越えると下りを含む区間が待っています。約874mは最高地点の標高であり、そのまま区間の累積上昇量を表す数字ではありません。[3]

コース紹介に示される最高地点は16.2km付近で、その先は19km過ぎの箱根神社大鳥居へ向かって下ります。つまり、最高地点に着いても区間は終わりません。小田原での差、上りの途中の差、芦ノ湖での差を分けて見れば、上りで動いたレースが、その先でどう変わったかまで追えます。[3]

そして、5区のフィニッシュで決まるのは往路の成績です。ここで首位に立つことには大きな意味がありますが、総合成績を決める復路109.6kmが残っています。応援する大学が追う側であっても、往路の結果と、翌日に残った区間を合わせて見れば、まだ続く勝負を追いやすくなります。

【観戦メモ】
最高地点で視線を止めず、芦ノ湖まで確認する。往路優勝と総合優勝も、別の結果として捉えます。

4.復路6〜10区|箱根から東京へ

復路は、前日の往路の結果を引き継いで走ります。一方で、全チームが往路のタイム差どおりに出発するとは限りません。山下りから見始める場合も、まず出発時刻と総合タイム差を確かめると、レースを読み違えにくくなります。

6区 箱根・芦ノ湖〜小田原|「山下り」でも、最初は上る

距離:20.8km 主な着眼点:序盤の上り、下り、残り3km付近

6区は山下りで知られていますが、芦ノ湖を出てすぐに下り始めるわけではありません。序盤は最高地点へ向けて上り、その先で本格的な下りに入ります。大会公式・放送局のコース紹介はいずれも、下りを終えたあとの終盤まで含めた走りをポイントに挙げています。[3][6]

見るときは、上りの部分、下りの部分、小田原までの終盤の3つに区切ると分かりやすくなります。ある地点で差が詰まっていても、最後まで同じ傾向が続くとは限りません。コースの性格が変わる地点で、タイム差がどう動くかを追ってみましょう。

なお、6区の区間タイムが平地区間より速くても、その数字だけで他区間の走者と力を比較することはできません。下りを多く含む20.8kmと、起伏のある23.1kmでは条件が違います。6区の走りは、同じ6区を走る選手同士の記録と、総合争いへの影響の両方で見るのが適切です。

【観戦メモ】
序盤の上りで慌てず、下りだけで評価を決めず、小田原でどこまで差が動いたかを確認します。

7区 小田原〜平塚|山を下りてからも、流れは変わる

距離:21.3km 主な着眼点:起伏、時間帯による気象の変化

7区には細かな起伏があり、走行中に日が高くなることによる気温や日差しの変化も、公式のコース紹介で挙げられています。ただし、晴れるか、風が強いかといった条件は、実際の大会当日に確かめる必要があります。[6]

6区で差が大きく動いた直後は、観戦する側も「この大学に流れが来た」と感じやすくなります。その流れが次の区間でも続くかを確かめるのが7区の楽しみです。山下りと平地では走者も条件も変わるため、6区の結果だけで復路全体を決めつけることはできません。

小田原で30秒だった前との差が、平塚で10秒になったのか、1分に広がったのか。区間の前後を比べれば、順位が動かなかった走りの価値も見えてきます。同時に、後続が近づいていないかも確認すると、追う側だけでなく守る側のレースも追えます。

【観戦メモ】
6区の結果を受けて、前との差と後ろとの差がどう変化したか。平塚の襷渡しまでを一続きで見ます。

8区 平塚〜戸塚|海沿いの先に、遊行寺坂が待つ

距離:21.4km 主な着眼点:海沿い、内陸への移行、遊行寺坂

8区は海沿いを進んだあと、浜須賀から内陸へ向かいます。後半、残り約6kmのところに待つのが遊行寺坂の上りです。往路3区で下った坂を、復路では上る。前日に見た景色を覚えておくと、同じ沿線を逆向きに走る難しさが具体的に分かります。[6]

ここでは、前半の通過タイムと、坂を経たあとの区間結果を見比べると理解が深まります。途中で差が詰まった走りも、最後まで詰め切れたかどうかで、次の9区へ渡す条件は変わります。

シード権争いを見る場合は、画面に映った集団だけで判断しないことも大切です。復路の一斉スタートなどによって、近くを走る大学同士が、そのまま総合順位で隣り合っているとは限りません。中継の総合順位と10位との差を確認しながら見ると、目に見える競り合いと、時間で争う競り合いの両方を追えます。

【観戦メモ】
遊行寺坂の前後の差と、戸塚での総合順位。画面上の集団の位置だけでシード圏内・圏外を決めません。

9区 戸塚〜鶴見|最長区間で、アンカーの出発条件をつくる

距離:23.1km 主な着眼点:序盤の起伏、長い区間で動く差、鶴見の襷渡し

9区は復路最長の23.1kmで、2区と同じ距離です。戸塚を出た序盤には下りがあり、7km過ぎには権太坂を往路と反対向きに通過。その後、横浜駅方面を経て鶴見へ向かいます。2区では後半に待っていた坂が9区では前半に現れるため、単に「花の2区の逆走」と覚えるより、起伏の順番を意識するとレースを追いやすくなります。[2][6]

長い区間では、わずかな平均ペース差も積み重なります。単純計算なら、1kmにつき2秒の差が23.1km続けば約46秒です。実際のペースは坂や展開で変わりますが、数十秒の差がある相手でも、区間を通して追い続ける意味を考える目安になります。

鶴見では、10区へ何秒差で渡したかが大きな見どころです。同時に、中継所での繰り上げが近いチームでは、襷を直接つなげるかという別の時間との勝負もあります。ただし、繰り上げの基準は総合首位との累積タイム差と混同せず、その中継所の先頭走者の通過を基準に見る必要があります。

【観戦メモ】
アンカーに託した総合タイム差と、実際の襷渡し。二つを分けると鶴見中継所の状況を読みやすくなります。

10区 鶴見〜大手町|最後の区間も、23kmの長い勝負

距離:23.0km 主な着眼点:残り距離、日本橋、最終の総合順位

10区は23.0km。2区・9区との差はわずか0.1kmで、全10区間の中でも長い区間です。鶴見から六郷橋を渡って東京に入り、品川、三田方面へ進みます。終盤は1区と異なり日本橋を経由して、大手町のフィニッシュへ。「東京に入ったらすぐゴール」ではない、最後まで長い区間です。[2][8]

「あと1区」という表現は、短い距離が残っているという意味ではありません。例えば残り10kmで30秒差なら、単純計算では1km当たり3秒ずつ詰めると同時になります。ところが残り1kmで同じ30秒差なら、必要な差は大きく変わります。数字だけでなく、残り距離と一緒に見ることで追う側・守る側の状況を具体的に捉えられます。

大手町に着いた順番にも注意が必要です。一斉スタートや繰り上げの影響がある場合、フィニッシュした順と総合順位が一致しないことがあります。見た目の競り合いを楽しみながら、最後は公式の総合記録で順位を確認しましょう。

【観戦メモ】
時間差と残り距離をセットで見る。シード権争いも、最終的な総合タイムと公式順位まで確かめます。

5.順位とタイム差からレースを読む

「何位で走っているか」と「その選手が何位のタイムか」は別

中継では、少なくとも次の三つを区別すると理解しやすくなります。

見ている数字意味
走行順・見た目の順番その地点を実際にどの順で走っているか
区間順位その区間の所要時間を比較した順位
総合順位往路・復路を通したチームの合計時間に基づく順位。最終成績は10人の区間タイムの合計で比較する

例えば、先頭で襷を受けた選手が、そのまま先頭で渡したとしても、区間賞とは限りません。その区間では後ろの大学の選手の方が速く走り、差を詰めている場合があるためです。逆に順位を上げられなくても、先頭との差を大きく縮めた選手もいます。

追い上げを見つけるには、区間の前後で同じ相手と比べる

仮の例:順位が変わらなくても、60秒詰めている

A大学がB大学から1分30秒遅れて襷を受け、次の中継所では30秒遅れまで追い上げたとします。この区間でA大学はB大学に対して60秒縮めました。区間中に一度も追い抜いていなくても、両校の争いは大きく変わっています。

この比較は、同じ2校の、同じ地点での累積タイムを使うのが基本です。途中で首位の大学が替わった場合、「先頭との差」だけを引き算すると、比較対象まで変わってしまいます。

また、走る姿だけから「けがをしている」「監督の作戦が外れた」といった事情は分かりません。観戦で確認できるのは、まず配置、通過タイム、区間記録です。選手の状態や起用の意図は、本人やチームの発信を確かめたうえで受け止めたいところです。

6.復路の一斉スタートと繰り上げの違い

この節の具体的な基準は、第102回大会の競技実施要項[7]に基づきます。第103回大会の正式な運用は、今後の発表で確認してください。

芦ノ湖での一斉スタート:前日の遅れが消えるわけではない

前回大会は、往路首位から10分以内にフィニッシュしたチームが、その差に応じて復路を出発し、それ以外のチームは首位の出発から10分後に同時出発する規定でした。

仮に往路で首位から12分遅れた大学が、復路では10分後に出た場合、往路の差どおりに出発する場合より2分早く走り始めます。しかし、記録上の2分が帳消しになるわけではありません。実際に走った各区間の時間を合計するため、前日の12分差は総合成績に引き継がれます。これが、画面上の位置と総合順位がずれる理由の一つです。

中継所での繰り上げ:前走者の到着を待たずに出発する

繰り上げは、前の走者が中継所へ来る前に、次の走者が出発する仕組みです。前回大会の基準は、往路の鶴見・戸塚が先頭走者の通過から10分、平塚・小田原が15分、復路の各中継所が20分でした。競技実施要項では、車両混雑が予想されるため審判員主任の裁定で行うとされています。

復路出発時の一斉スタートと、途中の中継所で行われる繰り上げは、発生する場所も基準も違います。また、繰り上げになったこと自体で失格になるわけではありません。実際の襷のつながりと、チームの総合記録を分けて理解すると、その後も続く各選手の走りを追えます。

7.全10区間の区間記録一覧

観戦前に区間記録を知っておくと、中継に表示されるペースを捉える目安になります。
次の表は第102回大会(2026年)終了時点の記録です。記録を出した当時の大学を記しています。

区間選手大学区間記録大会・年
1区青木 瑠郁國學院大學1時間00分28秒第102回・2026年
2区キムタイ城西大学1時間05分09秒第102回・2026年
3区イェゴン・ヴィンセント東京国際大学59分25秒第96回・2020年
4区イェゴン・ヴィンセント東京国際大学1時間00分00秒第99回・2023年
5区黒田 朝日青山学院大学1時間07分16秒第102回・2026年
6区野村 昭夢青山学院大学56分47秒第101回・2025年
7区佐藤 圭汰駒澤大学1時間00分43秒第101回・2025年
8区塩出 翔太青山学院大学1時間03分45秒第102回・2026年
9区中村 唯翔青山学院大学1時間07分15秒第98回・2022年
10区佐藤 圭汰駒澤大学1時間07分31秒第102回・2026年

出典:日本テレビ「大会記録」[9]

過去の記録と比べるときには、同じ「5区」などの名前でも、当時の距離やコースが同じとは限らない点に注意してください。4区・5区は第93回大会からコースが変更されています。歴代のタイムを並べる際には、まず比較対象となるコースの範囲を確認する必要があります。

また、区間記録は「その区間で過去に出た最速タイム」であり、その年の走者が必ず目指すべきペースという意味ではありません。風や気温、競り合う相手、襷を受けた位置が違えば、レースの進み方も変わります。記録への挑戦と、目の前の順位争いの両方に目を向けると、数字の楽しみ方が広がります。

8.観戦前によくある疑問

一番重要な区間は、やはり2区か5区?

どこを重視するかはチームの構成や目標で変わるため、一つに決められません。2区は長さと坂、5区は山上りが注目されますが、その前後でついた差も総合時間に含まれます。特定の区間を「重要ではない」と考えるより、応援する大学がどこで差を動かせるかを10区間で見る方が、配置の楽しさにつながります。

「平地区間」なら、ずっと平らな道を走る?

いいえ。箱根の5・6区のような山の区間と対比して使われる呼び方で、坂がないという意味ではありません。2区の権太坂や8区の遊行寺坂、橋の前後の起伏など、平地区間にも高低差があります。

1日目に優勝した大学が、そのまま総合優勝になる?

1日目に決まるのは往路優勝です。総合成績は復路も含めた合計時間で決まります。往路で何秒先行し、復路でその差がどう変わったかを見ることが、2日間を通して観戦する基本です。

10位で走っていれば、シード権を取れる?

確認すべきなのは、画面上の走行順ではなく最終の総合順位です。前回の要項では総合10位以内が次回のシード権を得る規定でした。第103回大会の規定を確認するとともに、復路では一斉スタートや繰り上げによる見た目のずれも考慮して、公式の総合順位を追いましょう。[2][7]

区間エントリーが出たら、ここで紹介した区間をその選手が走る?

区間エントリー後も当日の変更が行われる場合があります。第102回大会は、正競技者と補欠の交替を認める規定でした。名簿を見る際は「登録段階の配置」か「当日変更を反映した走者一覧」かを確認してください。2027年大会の最終的な走者は今後の公式発表で確かめることになります。[2]

9.コースを知ると、襷の先の展開が見えてくる

箱根駅伝は、同じような距離を10人が走るように見えて、区間ごとに違う条件が待っています。1区の集団、2区の坂、3区の海沿い、4区から山へのつながり。5区の先には翌日の6区があり、山を下りても大手町まで4区間が残っています。

区間エントリーが公表されたら、このコース表に選手の名前を重ねてみてください。大会当日は、応援する大学が襷を受けた時点のタイム差を覚えておき、次の中継所でどう変わったかを確かめる。それだけでも、順位が変わらない場面にある追い上げや、襷を渡すまでの粘りが見えてきます。

出場する大学を先に確認したい方は、「箱根駅伝2027の出場校は? シード10校・予選会通過10校・関東学生連合を整理」へ。複数大学の選手が襷をつなぐ仕組みは、「箱根駅伝の『関東学生連合』とは?」で詳しく紹介しています。

観戦で生まれた「走る疑問」を、Runvoxで深める

「上りと下りでは、どんな意識で走りを切り替える?」

「20kmを超える距離で、後半までペースを保つには?」

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参考資料